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ザ・スーパー・ポップ宣言

ラバーズロック2

ラバーズロック(2)


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【 ラヴァーズ偏差値 65

HEPTONES / LET ME HOLD YOUR HAND '73



ロックステディ時代のヘプトーンズには素晴らしいものがあるけど、レゲエ時代になっても変わらずグレイドの高い作品を出し続けてくれました。幾つもの名アルバムを出した彼らだけど、アルバム未収録曲にもこんな傑作が埋もれているのだから堪りません。曲はゆったりとしたテンポの甘茶レゲエ。歌の主人公は純朴で誠実な人物像を思い浮かばせ好印象。甘く憂いを帯びたメロディも将に1973年というスウィートソウル全盛期のそれに近い感じ。随所で効果的に入る悲しげなコーラスもムード満点だけど、最後に来る「ウゥーウゥーウゥー」という泣き節スキャットでダメ押し。

「YOU TUBE」で聴けます。

ANTHONY WATSON / SOLID LOVE AFFAIR (掲載なし)

REGGAE HITS VOL.19

甘茶ソウル百科事典 BILLY'S 092 で選出されていたので初めて聴くに至ったこの曲、ねちっこくてくどいほどの歌いまわしだけどもそこがおおいに魅力なのですが、初めて聴いたはずなのにどうも聞き覚えがある。で、それがどこで聴いたものだったのかというと、、、。

REGGAE HITS VOL.19 / V.A. (英JETSTAR 1019) 95年?

そう、レゲエのコンピなのです。ここではこの曲のレゲエバージョンを聴かせてくれてます。これがまた実にレゲエのリズムに良くあうんです。私はレゲエでも特にラヴァーズロックが好きなので、一粒で二度美味しい曲であります。私はこちらの95年レゲエバージョンの方が断然好きです。曲にメリハリが付いたのはもちろん表情もより生き生きしているように感じる。何より甘茶ソウルのミディアムテンポものは大好きなのだ。

暴論かもしれないが、一部ダンサーを除いて言うと、ソウルよりもレゲエの方が「より優れた形態に進化した」リズムを持っていると思ってるからね。レゲエ、特にラヴァーズ好きな方なら100%レゲエ版の方に軍配をあげると思うけど、ソウルファンの方はどう思うのだろう。是非聞き比べて感想をお聞きしたい。

しかし何故この95年という時期にこのレゲエバージョンが製作されたのかは謎です。あるいは彼の過去の作品のレゲエバージョンがもっと製作されているのでしょうか?

CHOSEN FEW / ON THE RIGHT TRACK 12"(KUFF EB001)

CHOSEN FEW ON THE RIGHT TRACK.jpg BRITISH LOVERS 1.jpg

CHOSEN FEWと言えば「YOU MEAN EVERYTHING TO ME (POLYDOR 2058 661)'75」が多くの甘茶者が必ず一度はビリビリと脳天を痺れさせられる永遠不滅のスウィートソウル。レゲエでも甘茶ソウル系ラヴァーズカバーの多い「CHOSEN FEW」は同一グループと報じられることもあるが、それらの曲で聴けるものは大味で、マニアックな甘茶を好む愛好家にはチト物足りない内容。ところがこのイギリス製ラヴァーズロックコンピ収録のこの曲はラヴァーズロック、甘茶、双方のファンを満足させるであろう傑作となっている。

全体に繊細で豊潤な甘さを漂わせるメロディにしっとりと落ち着いたムーディーなラヴァーズトラック。コーラスは清らかに切なげに響き、時折切れ込むファルセットはPOLYDOR版を彷彿とさせる素晴らしく甘い出来。おそらくは80年代後期の作品と思われ、POLYDOR版ほどの過剰さ、緊迫感は無いが、それでもそれに痺れた多くの甘茶ファンにもう一度ささやかな夢のひと時をプレゼントしてくれることだろう。

尚、「BRITISH LOVERS ROCK VOL.1 (LONDISC LORCD 030)」収録版は3分51秒ですが、12"シングル盤は5分35秒と後ろに長いバージョンになっています。

DENNIS BROWN / FOR YOU '88「INSEPERABLE」収録

DENNIS BROWN INSEPERABLE 1.jpg DENNIS BROWN INSEPERABLE.jpg

ラヴァーズロックの最高傑作アルバムは?と聴かれたらこのアルバムと答える。So nice to be with you、For you、Inseparable、Rain、Since I've been loving youの5曲はどれも偏差値60以上の極上ラヴァーズだ。当たり外れの多いレゲエのアルバムにおいて一枚のアルバムにこれだけの名曲が揃うというのはかなり稀なことだ。(因みにこのアルバムに感動した私は急遽その前後のアルバムも買い集めたがどれもつまらない出来であった、よくある事です。)ここ(ドイツ?のアマゾンだろうか?)で試聴出来るようです。発売当初のアナログ盤は左側のジャケットだったけど、最近は右側のジャケットで流通しているようです。

この中で特に好きなのはちょっと憂いを帯びた情感深いメロディを持つけど、乾いた空気感と和み感の素晴らしいFOR YOU。海辺のリゾートで夕陽でも見ながら昼間の肌のほてりを冷ましゆったりと過ごすときなどに最適だろう。耳当たりの良いバックサウンドもレゲエ初心者にも抵抗なく受け入れられる内容で大衆性も抜群。とは言っても歌声やメロディは濃い目で熟練のラヴァーズ愛好家の幾度もの愛用にも耐えられる優れものである。

SUSAN CADOGAN / TOGETHER WE ARE BEAUTIFUL 「SOULFUL REGGAE」 '92(ARIWA ARICD080)

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英国アリワサウンドからの傑作ラヴァーズロックアルバム。ソウル等のヒット曲のカバー中心なのでサウンドだけでなくメロディもしっかりとしてるのが大きな特徴。クレジットが無いから分からないのだが、もしかしたら私が知らないだけで全曲カバーなのかも知れない。中でもDionne Warwickのヒットで知られるバカラック作のSAY A LITTLE PRAYERはアリワの硬質なサウンドにより、聴き慣れてしまった元曲が新鮮に蘇った感じで良い。特に後半に接続されるダブは時折歌が入ることで聴き手のイマジネーションを喚起させる効果は大きい。MALACOのFern KinneyのTOGETHER WE ARE BEAUTIFULのカバーはレゲエの歯切れの良いリズムにうまい具合にフィットしていてしっぽりと甘く切なくいいムード。サザンソウルファンも涙の一曲だろう。やはりサザンのAL GREENのLET'S STAY TOGETHERのカバーもかなりレゲエのリズムに馴染んでいる。他にもEMOTIONS, LA LA AT THE END, ALWAYSの3曲はどれも情感豊かなメロディが楽しめて良いヨ。試聴はこちらで。

PAULETTE TAJAH / BABY, BABY, MY LOVE'S ALL FOR YOU

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「BREAKING THE BARRIERS WITH SOUND VOLUME ONE - CAPTURED BY THE VIBES / ARIWA ARTISTS(V.A.)」'88(ARIWA SOUNDS ARI LP 040)収録。甘茶ソウルと比べると、同じ甘めの黒人音楽でもいまいち糖度や胸キュン度に劣るラヴァーズ・ロックだけど、この曲の持つメロディの胸キュン度は、並み居る強豪甘茶にもひけを取らないものでしょう。というかクレジットが無いから分からないんですが、ひょっとしてこの曲ソウル・カバー?このコンピには他にも「SMOKEY ROBINSON / DAYLIGHT & DARKNESS」のカバーが入っていることだし、ソウル好きのMAD PROFESSORのことだから十分有り得ることなんではないかと。

(すいません、調べたらDeniece Williamsでした。「YOU TUBE」でデニス版が聴けます。しかし、この曲がこれほど繊細で冷ややかなアレンジに生まれ変わっていたとは、流石マッド教授!)

メロディはマイナートーンとメジャーな部分とに分かれ、決して全体を通して黄金旋律で貫かれているという訳ではないのですが、イントロ後のAメロの淡々としたメロディと切々とした歌い込み、Bメロの爽やかで高揚感のある、明るい陽射し感と胸をキュンとときめかせるメロディには素晴らしいものがあります。当然バックは全てを緻密に計算尽くされた、冷ややかで硬質なアリワ・サウンド。軽やかに転がるヴァイブの響きが特に良く、海辺やプールサイドの日蔭でまどろみながら聴くと冷却効果は絶大です。

因みに橋本徹氏選曲のアリワ・ラヴァーズ・コンピは既に5枚出てますが、この曲はどこにも収録されていません、、、。

KEITH DOUGLAS / YOU MOVE ME '85 「ROMANTIC NIGHTS / V.A.」収録

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ベタなジャケットで「ROMANTIC NIGHTS A SELECTION OF 20 SONGS FOR LOVERS (CSA RECORDS CSLP 24)'86」なんてベタなタイトルの甘めのレゲエを集めたコンピに入ってる極上ラヴァーズ。KEITH DOUGLASはFASHIONなどのコンピにも収録されたりするおそらくはイギリスの中堅シンガー。この曲は非常にキャッチーで大味なメロディを持った曲で、当然どこかの白人のポピュラーヒットか何かのカバーなのかと思っていたのですが、クレジットを見るとどうやら自作曲らしい。もし本当だとすれば相当な作曲センスの持ち主ということにもなりますが、果たして、、、。

ともすればメロディのポピュラリティの高さ故に退屈になりがちなバラード系の曲も、こうしてレゲエのラヴァーズリズムで仕上げられると、すぽっとツボに嵌ってしまうから不思議です。甘くこみ上げ系の泣きのメロディに、バックの、どこか郷愁を誘うメロディのリフレインが胸キュンものです。

J.C.LODGE / TO LOVE SOMEBODY 「REVEALED」'85 収録

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JCロッジの初期の名作のこのアルバムには「STALEMATES」他にも和めるラヴァーズが収録されていますが、まずはこのビージーズの67年のヒット曲のカバーを。検索してみるとかなり多くのカバーがあるようで、Sweet Inspirations、Eric Burdon & The Animals、The Lightning Seeds('98)なんてのまである。それだけ皆に愛されるエバーグリーンなメロディを持っているということでしょう。

彼女のバージョンでは特に際立って凄い部分がある訳ではないのですが、適度に力の抜けた唱方と声質、和めるラヴァーズなリズムが良いのです。サウンドも特に肩肘張ったところはないけれど中音域が心地よく響きます。彼女のアルバムは次の第三作目「I BELIEVE IN YOU」まではこうした和める平和な空気が流れていてどれもオススメです。

こちらのページで完全試聴出来ます。気に入られましたら他の曲もお試し下さい。

CARROLL THOMPSON / LEAD ME ON (SAN 10010)'81?

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79年にイギリスの黒人シンガーのMaxine Nightingaleがヒットさせた曲のラヴァーズロック・カバー。おそらく80年代初頭の作品で、ラヴァーズ・コンピ「RELAXIN' WITH LOVERS VOL.5 SANTIC AND MORE LOVERS ROCK COLLECTIONS」にも収録されています。オリジナルは哀愁を帯びたきれいなメロディをマキシン・ナイチンゲールが静かに繊細に歌いこんだソウル・バラード。大ヒットしただけあって流石のメロディラインですが、アレンジ含めて耳あたりが良すぎるのか、どうも引っ掛かりが足り無く何度か聴いてると早く飽きがくる感じ。

一方このキャロル・トンプソン版ですが、ハイトーン・ヴォイスで少し荒削り感のあるヘタウマ唱法は、マキシン版に緊迫感と切実さを加え、より味わい深く印象に残る出来となっています。「甘茶ソウル的要素が加わった」と言い換えることも出来ましょう。更に元曲には無かった活き活きとしたリズムに載せることによって、魅力を倍増させました。長めにとったイントロはその後の名メロを予感させ効果抜群。そこでも聴ける太めのベースラインは、全体のメロディラインに負けず劣らず魅力あるもので、このベース・アレンジによって新たなるグルーヴを吹き込むことに成功しました。こちらで45秒ほど試聴できます。

FIRE AND ICE / I'M GONNA MISS YOU '89? (GLUCK MUSIC)

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89年のMilli Vanilliのヒット曲「Girl, I'm Gonna Miss You」のラバーズロック・カバーでL.LEWISとB.BIGGSによるプロデュース。「REGGAE HITS VOL.7 (JET STAR 1007)'89」収録。

基本的に原曲に忠実な内容ですが、硬めの打ち込みトラックであるミリ・ヴァニリ版に対し、このカバーは物腰の柔らかなレゲエ・トラック。低音域の程よい重量感、中音域のギターカッティングの心地よい響き、高音域の繊細なキラキラ感と全音域に渡って安定した、生きたサウンドを聴かせてくれる。ヴォーカルは男女のデュオのようですが、特に男性ヴォーカルの情緒的&ソウルフルで甘い唱法は原曲以上に黒く濃く味わい深いものがあります。甘茶ソウルやレゲエファンならば当然このカバー版の方が支持されることでしょう。

このファイアー・アンド・アイス版はヒットして間もなく出されたカバーのようですが、私は全くこのデュオの正体を知りません。本CD収録バージョンは3分4秒と若干短め&エンディングも少々尻切れぎみなので、もしかして12インチ・バージョンも出てるんじゃないかなあと期待を込めて推測してるんですが、どなたかご存知ありませんか?

TOMORROW'S PEOPLE / GONNA TAKE A MIRACLE 「THIS IS LOVERS REGGAE VOL.2 '91(ARICD069)」収録

THIS IS LOVERS 2.jpg DUB YOU CRAZY WITH LOVE 2.jpg

「The Royalettes / It's Gonna Take a Miracle '65」の英アリワ産ラヴァーズロックによるカバー。山下達郎が5回もオンエアしてる原曲はゆったりとした流れと大掛かりで優雅なストリングスなどが素晴らしい60年代の傑作ガールポップだけど、マッドプロフェッサーの手にかかったこちらは同じ女性ヴォーカルながらちょっとテンポアップしたもの。アリワ特有の硬質な味付けは兎も角いつになく流麗なリズムで、原曲を聴きなれた耳にはなかなか新鮮な雰囲気。適度なエコー感や細やかな装飾音、男性コーラスと女性コーラスを使い分けて使うなどのアイデアも面白い。「DUB YOU CRAZY WITH LOVE(PART2) / MAD PROFESSOR AND THE MAD MEN BAND (ARICD132)」にはこの曲のダブバージョンの「MIRACLES DUB」が収録されていて、そちらのエコー感やキラキラ感も素敵です。やっぱり原曲がいいからどういじってもいいという感じですねえ。甘茶ソウルには、TOMORROW'S PROMISE , TOMORROW'S EDITIONとTOMORROW'Sが付くグループには素晴らしい曲があるけれど、このTOMORROW'S PEOPLEもそのお仲間に入れてあげたいところ。

【 ラヴァーズ偏差値 64

BORIS GARDINER / GUILTY '82



86年のI WANT TO WAKE UP WITH YOUの大ヒットで有名なボリス・ガーディナーの82年の甘いラヴァーズ。前者の先駆けとなったような本作もプロデュース、アレンジはWILLIE LINDOで安定のポップ感覚。メロディも前者同様で安っぽいラブソングって感じだけどキャッチーさと出来はなかなかのもの。いかにも大衆向けな内容だけどレゲエのリズムとポップなアレンジに載せてかなり心地よい。(逆にレゲエじゃなかったらちょっと甘ったる過ぎて聴けなかったかも)リゾート向け和みレゲエとしてかなりの戦力となること請け合いですね。

「YOU TUBE」で聴けます。

シンバルがやたらエコーがかかったミックスもあるのでご注意を。

MAXI PRIEST / LET ME KNOW (EXTENDED VERSION) '87



マキシ・プリーストの87年の2NDアルバム収録曲。それまでにない洗練されたポップ感覚溢れる85年の1STアルバム「YOU'RE SAFE」でいきなりレゲエファンを驚かせた彼は、究極のポップ・レゲエにして彼の代表曲「SOME GUYS HAVE ALL THE LUCK 」収録の3RDアルバム「MAXI」までは素晴らしくポップでしなやかな歌物レゲエを聴かせてくれどれもオススメです。

この「LET ME KNOW」も伸びやかでしなやかな歌物レゲエ。軽やかで洗練された高揚感のあるメロディは70年代ソウルのJOHNNY BRISTOL辺りからの流れを汲んでいるのかも。ASWADのDrummie Zebがプロデュースしていますが、ポップなアレンジは彼の手腕なのかな。後半に軽めのダブが接続されている12インチ版のEXTENDED VERSIONがオススメです。

「YOU TUBE」で聴けます。

FIL CALLENDER & JAH STITCH / BABY MY LOVE '78



IN CROWDのメンバーであるフィル・カレンダーの12インチ・シングル曲。軽やかな印象のピアノのフレーズで始まるラヴァーズロック。オルガンのチープで味のある音色ともどもお洒落でハイセンスな雰囲気がいい。タイトル部分を甘くファルセットで歌うサビもキャッチー過ぎるぐらいにキャッチー。そして一番の聴き所はAメロの「I WISH YOU ~」の箇所。起伏に富んだここのメロディの美しさと味わい深さと言ったら格別ですね。力の抜けたしゃがれたファルセットで軽く歌い流す感じも心憎いぐらいで洒落た感性を感じさせます。

個人的にこの曲との出会いは80年代後半のテレビの深夜番組で、確かタケオキクチのファッションショーのBGMで流れてた。DCブランド全盛だったこの時代、こうしたレゲエが高感度のお洒落人間ご用達音楽でもありましたね。一体どうやってその後この曲名を探り当てたのか忘れてしまったけど、当時は必死になってアチコチ探した記憶があります。この曲は後半にDJが入ってるんだけど、折角の洒落た雰囲気台無しの内容で残念。「YOU TUBE」で聴く時は前半部分の美味しいところだけご賞味下さいな。

BOB ANDY / LOVE THIS LIFE '95

BOB ANDY  LOVE THIS LIFE.jpg REGGAE HITS VOL.19 BOB ANDY.jpg

ジャマイカのベテランシンガーによる95年のラヴァーズロック。「REGGAE HITS VOL.19 / V.A. (英JETSTAR 1019)」にも収録。トラックに多少の機械臭があるものの、WILLIE LINDOプロデュースによるポップな味付けは、変に土臭くない洗練された味わい。太めの声質に深い歌いこみはディープソウル・ファンでも楽しめそう。温かみのある多幸感に満ちた明るい曲調で、起伏が大きいながらも綺麗なラインを描くメロディは秀逸で特に途中の転調部分が素晴らしい。キャッチーかつ甘く優しいメロディは是非甘茶ソウル・ファンにも楽しんで欲しいですね。

「YOU TUBE」で聴けます。自身のCD「Hanging Tough」にはREMIXバージョンが収録されていますが、そちらの出来はいまいち。

AMBILIQUE / SHARE MY LOVE 「LOVES GOT A HOLD ON ME」

Loves Got A Hold On Me.JPG Reggae Lasting Love Songs Vol2.jpg

男性ヴォーカルが情感たっぷりに歌いこんだ泣きのラヴァーズロック名曲。おそらく90年代後半の曲でシングルカットはされておらず、オリジナルアルバム「AMBILIQUE / LOVES GOT A HOLD ON ME」及び「V.A. / REGGAE LASTING LOVE SONGS VOLUME 2」収録曲。

ディズニー映画の主題歌のような安っぽい情緒押し売り的なメロディだけど、しっぽりとしたラヴァーズトラックに乗るとすんなり聴けてしまうから不思議です。かなりキャッチーなメロディなので誰かのカバー曲なのだろうと思いあちこち探してみたんですが、どうもオリジナル曲みたい。語り入りラヴァーズ自体珍しいけど、これは男性が歌い女性の方が延々語るという甘茶ソウルでもあまり見かけないタイプのもの。女性の語りは淡白かつ冷静で時にためいき、泣きが入ったりと全編に渡ってかなりのリアリティを感じさせてくれる。うーむ、役者じゃのお。女性の語りものとしてはヒステリックに泣き叫ばないところが実に良くって、こんな風におしとやかに泣かれたら別れられなくなっちゃうネ。女性の語り部分は甘茶ソウルを含めても最高の出来と感じます。試聴はこことかそことかで。


NICK KAMEN / DON'T HOLD OUT '90 CDS「I PROMISED MYSELF」収録

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ラジオやお店ならともかく、TVを見てて偶然耳にした音楽が気に入るということは個人的には滅多にないが、この曲はまさにその稀な例。90年頃のお笑い番組「夢で逢えたら」(ダウンタウン、ウッチャンナンチャン、清水ミチコ、野沢直子)のエンディングで皆でソファに座りなごんでいるシーンでかかっているのを聴いて一発で気に入り、速攻でTV局に電話して曲名尋ねてゲット。確か数回はかかっていたので未だ気になっている人もいるのでは?

曲は出だしから開放感いっぱいの明るいポップレゲエ。ラヴァーズと呼ぶにはチト甘さが足りないが、メロディもよく出来ている、というかキャッチーすぎて飽きやすいぐらい。サウンド的にはジャマイカの泥臭さは皆無の洗練されたもの。UB40的というかそんな感じで白人レゲエの良い部分がうまく出ている。音の乾き具合、抜け具合など含めて全体的にうまくポップにまとまっている。

因みにこの人のことはほとんど知らないんですが、画像からも分かる通り白人シンガーです。どうもイギリスでのファッションモデルあがりのようで知名度も?ですのでレゲエファンの方にもほとんど知られていない曲なのでは?と思い取り上げてみました。

BORIS GARDINER / I WANT TO WAKE UP WITH YOU '86 12"(REVUE 33)

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WILLIE LINDOプロデュースで、MAC DAVID作の泣きのラヴァーズロック。86年にイギリスのナショナルチャートで1位、年間チャートでも3位という大ヒットを記録しています。WILLIE LINDOはMAXI PRIESTのアルバムプロデュースなどで知られますが、高音、中音そして低音域に至るまでバランス良くアレンジされた音感は実に耳触り良く、心地よく響きます。

この曲がオリジナル作なのかどうかは分かりませんが、ポピュラリティの高い、いかにも安っぽいB級メロドラマ的な泣きの旋律、、、。これで全くグルーヴ感が無いバックだと聴くに耐えないという感じですけど、しっぽりとした優しいリズムに包まれて、あらあら不思議、子守唄的に体に作用する何かがありますね。南国のリゾート地で夕陽を眺めながら聴くと嵌りそうですね。個人的には若い頃はダルくていまいち馴染めなかった曲だけど、この年齢になって時たま聴くと結構いいなーと感じます。(年だなあ、、、。)甘茶ソウルで言うとSTYLISTICSあたりの立ち位置って感じでしょうか。やはり甘めのレゲエ/ラヴァーズ入門編として適任曲と言えるでしょう。

「YOU TUBE」にPVが有りました。うわっ!なんてどうでもいい映像(笑)。見なきゃ良かった、、、。

【 ラヴァーズ偏差値 63

DERRICK HARRIOTT / WALK THE STREETS '67



60年代初頭から活躍するジャマイカのプロデューサー&歌手のデリック・ハリオットの1967年のロックステディ。スウィートソウルにも通じる濃厚な甘さが特徴的な曲です。後に甘茶ソウル名曲のContinental 4 / Day By DayFRIENDS / Birthday SongESCORTS / Look Over Your Shoulders、あのChosen fewとの共演でのCHI-LITES / Have you seen herDELFONICS / DIDN'T Iなどなど、実に数多くのカバーをしていることからも、彼が如何に甘茶ソウルに精通したミュージシャンであったかが分かります。これらカバーはオリジナルには及ばないヌルめの出来であることは否めないですが、自作曲である本曲は彼ならではの流石の甘茶センスが発揮された優れもの。しっとりと落ち着いた甘いメロディは品があり、上手くロックステディのリズムに溶け込んでいる感じ。派手さは無いけれど純朴な感じに好感が持てるのと味わい深さもありますね。本場アメリカのスウィートソウル創成期とほぼ同時期にジャマイカでもこうした甘茶曲が作られていた事実には驚かされます。

「YOU TUBE」で聴けます。まさかのPVもあり。

CYNTHIA SCHLOSS / AM I LOSING YOU '88



当ブログでは、既に「SEND ME THE PILLOW YOU DREAM ON」を紹介済みのイギリスのラヴァーズ・ロック・シンガーCYNTHIA SCHLOSSによるオールディーズ・カントリーのラヴァーズ・カバー。SEND ME THE PILLOWは1949年がオリジナルだったけど、この「AM I LOSING YOU」も、同じくオリジナル(Jim Reeves)は1957年と古いカントリー。前者は兎も角、後者はさほど有名じゃない謂わばマニアックな曲だと思うんだけど、この選曲は彼女の趣味なんですかねえ。何れにしてもどちらも良い曲なうえに、更にそのカバーの出来が素晴らしいんですよねえ。WILLIE LINDOプロデュースによるポップなアレンジは、テンポも速くなりオリジナルよりもずっと聴き易い内容。レゲエの軽快なリズムに乗ってこの曲の牧歌的で甘く多幸感に満ちたメロディが、より活かされている感じ。シンシアは日本では全く人気が無い感じだけど、楽曲にも恵まれているのでもっと聴かれていいんじゃないかな。

「YOU TUBE」で聴けます。

JANET KAY / LOVING YOU (ALL TONE 006)'77



Minnie Ripertonの74年のソウル・ヒットのラヴァーズ・カバーで77年の作品。プロデュースはALTON ELLIS。何故か日本では91年に再録音したものが大ヒットしたので、レゲエファン以外にも知られた超有名曲という位置づけになりますね。他のアーチストによるカバーも多いけれど、オリジナル含めてラヴィング・ユーと言えばジャネット・ケイで決まりって感じでしょう。しかしなぜ日本で大ヒットしたのか?今にして思えば不思議ですね。テレビドラマに使われたんでしたっけ?91年ということである程度レゲエに馴染める土壌ができていたことも大きかったかと思います。

原曲以上のヒット/有名曲になった要因は、悲しげなしっとりとしたメロディがレゲエの軽やかなリズムにより良い方向に中和されたからでしょうか。ヴォーカルもソウルフルなミニーの唱法よりずっとあっさりして聴き易いし、ジャネットの声質も魅力的だったからかな。それにしても91年版はレゲエ、特にラヴァーズ・ロック者の私からすると聴くに耐えない魅力薄な内容。当ブログをご訪問いただくような濃い音楽ファンには是非77年版を聴いて頂きたいですね。特に後半にインスト・ダブが接続されたALL TONE版はそのダブ部分がエコーが深めで聴き応え十分の素晴らしい内容。この有名曲に食傷ぎみの方も是非お試しください。

「YOU TUBE」で聴けるのとは違っていますのでご注意を。

GAYLADS / IT'S HARD TO CONFESS '68



これもアメリカでスウィートソウルが生まれた頃、ジャマイカではどうだったのかを示す好例の一つ。ロックステディ期の甘めのナンバーだけど、広義でのラヴァーズ・ロックと呼んでいいでしょう。素朴な味わいのサウンドをバックに甘いハーモニーを展開。淡白な曲調だけど切なげな甘いメロディがじんわりと心に染み入ります。派手さは無いけどなかなか良く出来たメロディじゃないですか。時折ファルセットが混じったりするので甘茶ソウル・ファンにも馴染み易いんじゃないかなあ。

「YOU TUBE」で聴けます。

Selectors & The Lyn Taitt Orchestra / One True Love '68

TROJAN REVIVE.jpg

トロージャンの膨大なレゲエ音源から選りすぐりの良曲がコンパイルされている「BOX SET」シリーズは、埋もれたマイナー名曲が手軽に大量に聴ける大変素晴らしいコンピで私も重宝しています。この曲はそのシリーズの「TROJAN REVIVE BOX SET」に収録されている、ライナーでも「よく分からない」と書かれているセレクターズという無名のグループによる68年のロックステディ。

軽快で歯切れのよいリズムに乗って、胸をえぐるように深く切り込んでくる甘く切ないメロディが素晴らしい。どこかで聴いたことが有りそうなキャッチーなメロディを優しくソフトに、そして情感たっぷりと歌い上げてます。60年代の純朴な時代の雰囲気とジャマイカの乾いた空気が伝わってくるようですね。WEB検索しても日本では誰も話題にしてないみたいけど、こんな良曲が人知れず埋もれてるなんて何とも勿体無い話です。「YOU TUBE」で聴けます。

CYNTHIA SCHLOSS / SEND ME THE PILLOW YOU DREAM ON '82?

Cynthia Schloss Send Me The Pillow.jpg Reggae Lasting Love Songs 1.jpg

もう半世紀以上も前のカントリーヒット曲の女性レゲエ・シンガーによるカバー。ラヴァーズ・レゲエ・コンピの「Reggae Lasting Love Songs Volume 1」などに収録。オリジナルは1949年のHank Locklinだけど、他にもPat Boone、Dean Martinなど数多くのカバーが存在します。中でもJohnny Tillotson版あたりが一番有名ですかねえ。

本来カントリーの牧歌的雰囲気とレゲエは相性がいいんだけど、ここでのシンシア・シュロスの温かみのある歌声とも実にうまくマッチしてますね。かといって埃、土臭くなり過ぎず、スマートな味付けに躍動感のあるリズムが加わり、これまでの幾多のカバーの中でも際立って素晴らしい内容。更にこの曲の12インチでは、後半から男性DJが接続され、その明るく楽しげなトゥースティングにより、より一層の温かな日差し、幸福感を届けてくれます。「YOU TUBE」で「12インチ・マキシ・バージョン」が聴けます。

【 ラヴァーズ偏差値 62

RUDDY THOMAS / MERCY MERCY ME '83 「Reggae By Ruddy Thomas」収録



Marvin Gayeの1971年の名曲「MERCY MERCY ME」のレゲエカバー。歌うは甘めの歌ものを得意とするルディ・トーマスで当ブログでは既にREFLECTIONSSTRANGER IN LOVEを取り上げ済みです。こうしてみるとカバーばかりだけど、彼の真骨頂は甘めの名曲をより甘く仕上げることにある感じで、ご本人も敢えてオリジナルで勝負しようと思わず割り切っているのかも。その心意気良しですね。曲はオリジナルより少しゆったりとした和めるラヴァーズロック。プロデュースはTAPPER ZUKIE、アレンジはWILLY LINDOということでポップで聴きやすく、かつオリジナルのもつ爽やかさを損なわない品のある内容に仕上がってます。secondhandsongs.comによるとこの曲のカバーは74曲も存在しますが、レゲエのリズムに乗ったことでオリジナルより更に浮遊感を増したアレンジが素晴らしく、個人的にはこの曲がベストアレンジ。

「YOU TUBE」で聴けます。

J.C. LODGE / I BELIEVE IN YOU '87 「I BELIEVE IN YOU」収録



ここまで、1STアルバム「SOMEONE LOVES YOU HONEY」のタイトル曲、2NDアルバムからは、「TO LOVE SOMEBODY」と「STICK BY ME」を紹介してきたジャマイカン・ラヴァーズロックの女王、JCロッジの3RDアルバムのタイトル曲。上記3曲は全てカバーだったけど、この曲はオリジナルみたいですね。かなり良く出来た上質のメロディだけど、他の誰かがカバーしてる訳でもないのが不思議なくらい。曲はゆったりと落ち着いた雰囲気の大人のラヴァーズロック。どこか物哀し気なメロディだけど、悲観することも気負うこともなく、どこか達観し無我の境地に立ったかのような雰囲気が素晴らしいですね。JCロッジの甘くやさしい唱法も流石のもの。時代的にドラムの機械臭のする音が曲にそぐわないのがチト残念。

「YOU TUBE」で聴けます。

RUDDY THOMAS / STRANGER IN LOVE '83



JOHN HOLTのアーリーレゲエのラヴァーズ・カバー。83年のアルバム「The Very Best Of Ruddy Thomas」収録曲。このアルバムは既出の「REFLECTIONS OF MY LIFE」など大甘なラヴァーズが多数収録されているのでラバーズロックのファンだけでなくスウィートソウルが好きな人にも是非押さえておいて欲しいですね。今にして思えばこの頃のルディ・トーマスは神がかっていたので、もっとこうしたラヴァーズ・カバーを残して欲しかった。

曲は83年産ということで適度に洗練されたヒューマン・トラック。後のFRANKIE PAULFREDDIE MCGREGORなどのコンピュータライズドと比べると格段に聴きやすい。ちょっと憂いを帯びた甘いメロディに、浮遊感を感じる淡いトラック。ルディ・トーマスの甘くソフトな唱法でオリジナルを更に甘く、より上品な味わいに仕上げています。

「YOU TUBE」で聴けます。

ERROL DUNKLEY / HOW COULD I LET YOU GET AWAY



60年代から活躍していたジャマイカの中堅シンガー、エロール・ダンクリーの恐らく80年代のシングル曲。曲はSPINNERSの72年のスウィートソウル・カバー。オリジナルはちょっと緩めの甘茶ソウルだけどレゲエのリズムに載せることで牧歌的でより良い味が出ましたね。特にオリジナルには無かった平和でのんびり感のあるホーンの響きがいい感じ。レゲエのリズムとホーンによってオリジナルの持ち味を最大限に引き出した好カバーです。後半のインスト展開がいまいちなのが惜しい。因みにオリジナルは結構レゲエアーチストに好評なようでSugar MinottBarry Biggsといった、やはり甘茶系歌手によってもカバーされています。

「YOU TUBE」で聴けます。


AISHA / THAT'S HOW HEART ACHES ARE MADE '86 (ARIWA ARI-52)



当ブログではお馴染みのイギリスのアリワ・サウンド・スタジオ産のマッド・プロフェッサー製ラヴァーズ・ロック。86年の12インチシングルの他に名ラヴァーズ・コンピ「BREAKING THE BARRIERS WITH SOUND」シリーズのVOLUME 2 「RUBBING THE WALLPAPER」などに収録されています。

オリジナルは1963年のBaby Washingtonのヒット曲で、Marvelettes、Loleatta Holloway、Dusty Springfield、といった女性歌手や男性ソウルグループのDELLSやPaul Young、Jerry Butlerなど幅広くカバーされています。オリジナルは少し物悲しい雰囲気のある曲ですが、このAISHA版はポップなレゲエ・アレンジで明るめに変貌しています。可愛らしいシンセ音が鳴り響くアレンジは81年のRandy Crawford版を踏襲していて、むしろランディ版のレゲエ・カバーといった方が正確かも。そのランディ版を更に冷やかに爽やかに、そして洗練された内容に仕立て上げたマッド・プロフェッサーの手腕はお見事という他ないですねえ。(そんな彼のセンスと技術にほれ込んだ幾つもの日本のアーチストが彼にプロデュースしてもらっているはず。)

コンピ収録版では後半にダブが接続されていて6分23秒と長く彼の音世界を堪能できる。特にダブ部分の空間(無音部分)を自在に使う手法は日本庭園や日本画といった古来からある日本文化に似通った雰囲気があり、それがアリワ・サウンドが日本で人気だった理由の一つでもあったのではないかな。歌手のAISHAは他にもアリワにDANCING TIMEというラヴァーズ良曲を残していてお勧めです。

「YOU TUBE」で聴けるのは4分38秒とダブ部分がほとんど端折られているものなので、あくまでご参考まで。

【 ラヴァーズ偏差値 61

DOBBY DOBSON / TROUBLE JIM '67



ロックステディの名曲「I'm A Loving Pauper」で有名なドビィ・ドブソンの1967年の甘いロックステディ。本曲はそのB面になります。Loving Pauperほどキャッチーではないけれど、甘いメロディと優しい唱法はスウィートソウル・ファンにも受けそうですね。恋人との甘い日々を反芻するかのような、甘さとほろ苦さが混在するメロディが美味。レゲエ前夜、トレジャーアイル産のロックステディの質素で軽いリズム・トラックとの親和性も高い。全体として感じられる古き良き時代の純朴な南国の甘いラブソング感は暑い季節の避暑的音楽に適してると思います。

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TYRONE TAYLOR / COTTAGE IN NEGRIL (NEW VERSION) '01?「REGGAE LASTING LOVE SONGS VOL.2」



1983年のTYRONE TAYLORの自作曲をCLIVE HUNTプロデュースにより再演したジャマイカ製ラバーズロック。2001年にVPから発売のオムニバスCD「REGGAE LASTING LOVE SONGS VOL.2」に収録されている。音の感じからするとやはり2001年頃に製作されたものと思わます。何故オリジナル発売から18年後にもなって再演されたのかは不明だけど、かなりポップに仕上がっています。オリジナルは少し憂いを帯びた甘いメロディの心地よいラヴァーズで如何にもリゾートの町ネグリルのコテージが似合いそうな雰囲気。解放的なサビも悪くないけどAメロの込み上げ系で濃密なメロディが素晴らしい。再演版はリズムがテンポアップしアレンジも大部洗練され聴きやすく。そして何よりタイロン・テイラーによる表現力の幅が広がり、歌が数段魅力的になっているのが驚きです。てっきりフレディ・マクレガー辺りのカバーかと思ってしまいました。タイロン・テイラーは他にも既出のMEMBERS ONLYもお勧めです。

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JOHN HOLT & JOYA LANDIS / I'LL BE LONELY '68



当ブログで既に「DO YOU WANT ME」を取り上げているJOHN HOLTと「MOONLIGHT LOVER」を取り上げている女性歌手JOYA LANDISとのデュエット曲。当初は「Jay & Joya」名義で出てたみたいです。1968年のロックステディでDuke ReidのTreasure Isleから。トレジャー・アイルにはこうした可愛らしいロックステディが沢山有るからコンピなどで一通り聞いて欲しいですね。「宝島」というネーミングと宝箱をあしらったレーベルデザインもいい。

どこか物悲しげで甘酸っぱいメロディが印象的な曲。ポップで可愛らしいホーンの音色と終盤の「ララララ」スキャットの素朴な雰囲気が味わい深い。肩の力の抜けた大らかで平和な空気感はこの時代ならではですかねえ。デュエット名義だけど聞こえるのはほとんどジョンホルトの声だけで曲が2分弱と短いのが惜しい。

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【 ラヴァーズ偏差値 60

PAT KELLY / TWELFTH OF NEVER '69



元Techniquesのリードで後にソロとして活躍したパット・ケリーの1969年のシングル曲。オリジナルは1957年のJohnny Mathis with Ray Conniff and His Orchestraで、バックはストリングス中心でリズム隊の無い質素な内容。他にSonny James、Sam Cooke、Bobby Vinton、Billy J. Kramer with The Dakotas、Glen Campbell、Chi-Lites、Tammy Wynette、Chairmen of the Board、Bee Gees、アグネスチャン、Olivia Newton-Johnなど200以上のカバーが存在する人気曲です。感傷的なメロディに甘い歌声が映える曲ですが、オリジナル同様ほとんどリズムを感じさせない内容が多い。それらに反しパット・ケリー版は実にリズミカルで個人的にはこの曲のベストカバー。プロデュースはBunny Leeで初期レゲエ、ロックステディな内容。溌剌とした躍動感のあるリズムをバックに、しかし歌声は甘く切ない。この組み合わせの妙味もまたロックステディの醍醐味の一つですね。なお、パット・ケリー版のオリジナルは1968年版ですが、1969年にアレンジを変えて再発されています。瑞々しいオルガンなど加えてかなりポップな内容で後者がお勧め。(誤ってMAX ROMEO名義で印字されているので注意が必要)因みに曲名の「TWELFTH OF NEVER」というのは、「決して来ない12=この世の終わり」(まで君を愛す)という意味の模様。

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PAT KELLY / TWELFTH OF NEVER(1968年版)

Glen Campbell / TWELFTH OF NEVER

Sister Audrey / DAYLIGHT & DARKNESS '88 「Breaking The Barriers With Sound Vol.1」



ブラックミュージック界の大御所Smokey Robinsonの自作曲で1978年のアルバム「Love Breeze」収録のスウィートソウルのレゲエ・カバー。オリジナルは「光と闇」という謎めいたタイトル通り、すこし神秘的な雰囲気の物静かな内容。派手さはないが気怠く甘い歌唱とメロディの良さでこれもまたスモーキーの代表曲の一つと言えるでしょう。ARIWA版カバーは歌姫シスター・オードリーによるもので、もちろんプロデュースは我らがマッド・プロフェッサー教授。アリワ産ラヴァーズロックはソウルのカバーが多いけど、これもまたそれら名曲の一つ。ラヴァーズ仕立てということでリズムが活き活きとし、夢心地感、浮遊感が増し心地よさが増幅されている。アリワのコンピ「Breaking The Barriers With Sound Vol.1」収録版はアルバム収録版と異なり後半にダブが接続されていて、より幻想的な雰囲気となっていて良い。12インチシングルのAA面はDaylight MIXとなっていて個人的には未聴だけど、こちらも面白そうですね。

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Smokey Robinson / Daylight and Darkness(オリジナル)

HORACE ANDY & ERROL SCORCHER / COME ON & ROCK ME '80 「UNITY SHOWCASE」



歌手HORACE ANDYとERROL SCORCHERのDJによる1980年のショウケーススタイルのミニアルバム収録曲。HeptonesのWe Are In The Moodの変名カバーで、オリジナル歌手のLEROY SIBBLESによるセルフカバーRock Me Babyも非常に良い出来(昔ジャパンスプラッシュで来日した時歌ってくれました)。「STRICTLY ROCKERS」P.89掲載曲で菅野さんは「ラバーズロック」として紹介しています。前半が歌で後半がDJとなっていますが、特に前半のホレイス・アンディの女性っぽいハイトーン・ヴォイスによる歌に味わいがありますね。元歌の良さと歴史的名トラックの出来栄えもありますが、のんびりした和み系レゲエとして実にいいムード。後半からDJに変わるのも一興で楽しい雰囲気ですね。

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TYRON TAYLOR / MEMBERS ONLY 「REGGAE HITS VOL.3」(英JETSTAR)

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ディープソウルシンガーBOBBY BLANDの代表曲のカバー。おそらく80年代後期の作品。ボビーブランドの歌はDEEP臭くて苦手という人もこちらのタイロンテイラーの軽やかなレゲエカバーならニッコリとなるか?でも歌声はDEEPですけどね。こういう泣き節な曲をあっさり軽めな雰囲気に出来るのもレゲエリズムのいいところ。それにしてもこの名前芸名だろうけど、いかにも歌えそうな名前ですネ。ディープソウルファンの鑑賞にも耐える歌いっぷりでオススメです。英JETSTARのコンピで聴けるが、「REGGAE LASTING LOVE SONG VOL.3 '03 VP RECORDS」にはアレンジがいまいちな別バージョンが収録されているので要注意。彼名義のベスト盤にどちらのバージョンが入っているのかは不明です。

GREGORY ISAACS / MY TIME '77



大御所シンガーのグレゴリー・アイザックスというと名曲NIGHT NURSEのような暗めの曲が多い印象だけど、この曲は珍しく明るい曲調。牧歌的なメロディが70年代のレゲエのリズムにもよく馴染んでる感じ。オリジナルはコクソン・ドット・プロデュースの1970年のBOB ANDYの初期レゲエでこちらも悪くないけど、聴き比べてみるとグレゴリーの歌手としての力量を感じさせますね。彼にはもっとこうした明るめの曲を歌って欲しかった。ダブの接続されたロングバージョンよりも、サクッと終わる短いバージョンの方がお勧め。

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J.C.LODGE / STICK BY ME 「REVEALED」'85 収録

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既にこのアルバム収録の「TO LOVE SOMEBODY」も紹介済みだけど、JCロッジの和めるラヴァーズ・シリーズ第三弾ということで。売れ線になってからの彼女の作品に魅力を感じない人もいるかと思うけど、初期の彼女は素朴な味わいがありラヴァーズ歌手として一時代を築いたのではないかと思います。

曲はレゲエではお馴染みのヒット曲のカバー・バージョン。JOHN HOLT,DENNIS BROWNといったところのものが有名でしょうか。シングJスタイルの「Johnny P & Thriller U」のバージョンは明るくポップな内容で、毛色は違うけどこちらも私の大好きなバージョンでオススメ。オリジナルは62年の「Shep And The Limelites」みたいですね。JCロッジのバージョンはちょっとバックの機械臭が気になるけど、女性らしい甘く柔らかなヴォーカルが曲調に合っていると思います。

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【もうすぐランクイン】

NATURAL MYSTICS / TROPICAL FEELINGS 12"



NATURAL MYSTICSという良く知られていないグループの12インチシングル「MY SWEET GIRL」のB面収録のギターを中心としたインスト曲。ウォーキング・テンポの心地良いリズムに乗って、まさにトロピカルなギターの音色が響き渡ります。適度にエコーに包まれたギターがオーバーダビングされちょっと幻想的な雰囲気も。穏やかで温かみのある明るい曲調にメロディも甘みを帯びて、南国のリゾートのプールサイドで和むには絶好の曲という感じ。全体的に音の響きが心地良く、特に低音域や中音域が良いので大音量でのプレイにももってこい。後半にはダブも接続されていて楽しさ倍増ですよ。

こちらのページで試聴出来ます。

KEN BOOTHE / WALK AWAY FROM LOVE '78 (C.KRIPPS) PRODUCED BY LLOYD CHARMERS
「TROJAN REGGAE CHILL OUT BOX SET」収録


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ソウルファンならみんなが大好きな「DAVID RUFFIN / WALK AWAY FROM LOVE」 。鳥肌ものの素晴らしいメロディが有名で山下達郎も既に3回もオンエアしてるね。で、こちらはそのソウル定番曲のカバーヴァージョン。レゲエのベテランシンガー、ケンブースによるこのカバーは8分以上もの長尺でその世界を楽しめるのが良い。もちろんデヴィッドラフィンの出来には足元にも及ばないが、この世紀の名曲をレゲエのリズムで長く楽しめるというところに意義がある。「WALK AWAY FROM LOVE」ファンなら是非押さえておきたいところ。他には甘茶ソウルグループChoice Fourが「I'm Gonna Walk Away From Love」というタイトルでやっている。こちらはリードにかなり物足りなさを感じるが、甘いコーラスやラフィン版同様ヴァイブの軽やかな響きはなかなか素晴らしい。他にはSmokey Robinson , Willie Clayton , Chuck Jackson , Marvin Gaye , The Temptations , Billy Griffin といった大御所たちもやっている模様で、是非全て網羅してみたいところ。でも一体誰がオリジナルなんだろう。

PAULETTE & THE LOVERS / PLEASE STAY '69

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バートバカラックの手による61年のDRIFTERSの曲のカバー。「TROJAN ROCKSTEADY RARETIES BOX SET」収録。これぞバカラック旋律と呼びたくなる、きれいなメロディは心の最奥まで染み込んできます。この世の全てを達観した仙人が持つ思慮深さ、慈愛の深さなんかも感じる素晴らしいメロディで大好きです。特に変態大人ドクターヨークによるバージョンはまるで羊水の中、原始の海をプカプカと漂っているかのような、DNAに直接刺激を与えてくれるかのような感覚に陥る素晴らしいカバー。

このロックステディ版も、派手さは無いけど切々と歌う女性ボーカルによる純朴な感じがそこはかとなくいいムード。質素で無駄のない清貧な感じさえ受けるトラックは実にこの曲に合っている気がします。ラヴァーズ・ロックでもDOBBY DOBSONの極甘カバーがまた素晴らしい出来なのですが、そちらはまたの機会に。

他にもZoot Money (1965) , Cryin Shames (1966) , David Garrack (1967) , Lou Johnson (1968) , Lulu (1970) , Persuaders (1973) , Jay Black (1978) , Bridge (1986) , Elvis Costello (1995) , Keith , Sha Na Na , BAY CITY ROLLERS などなど沢山のカバーがあるようです。他にもお薦めがありましたら是非教えて下さい。

追記:2曲レゲエによるカバーを見つけました。George Faith Slim Smith


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